偉人の写真を探して、最初に選んだ1枚は、別の人でした。
2026年9月、伊勢崎の田島弥平旧宅の記事に、渋沢栄一の写真を載せようとしました。探すのに使ったのは、弊社で作った「偉人写真さがし」というWebアプリです。
この記事では、なぜ別人を選んでしまったのか、アプリをどう直したのか、そして直したあとも最後は人が説明書きを読むしかなかったことを書きます。
まず、道具です
| 見たこと | 中身 |
| 名前 | 偉人写真さがし(弊社の自作・Webアプリ) |
| 探す先 | 国立国会図書館の次世代デジタルライブラリーだけ(返ってくる資料は、著作権の保護期間が終わったもの) |
| できること | 人の名前で本を探し、本の中の図版(写真や絵)を切り出して並べる/人が「確かさ」を付けて選ぶ/選んだ画像と出典の一覧をまとめて保存する |
| 作り | HTMLファイル1枚。アプリの中でAIは使っていない=1回使うごとのお金はかからない |
| 決めている線 | 🔴 本人かどうかの最終判断は人がする(「確かさ」の印は人が押す) |
1枚目は、別の人でした
最初に選んだのは、『浅野・渋沢・大川・古河コンツェルン読本』(1937年)の53コマ目にある人物写真でした。アプリで付けた確かさは「△」です。
ところが、そのページ全体を開いて写真の説明書きを読むと、「淺野良三」と印刷されていました。渋沢栄一ではありませんでした。
このときアプリを使った私の感想は、次のひと言でした。
「いっぱい写真出てるけど、どれが渋沢栄一さんかわからない」
なぜ、別人を選んでしまったのか
アプリの作りを見直すと、原因は3つありました。
| 原因 | 中身 |
| ① 並べ方 | 本の中の図版を、ページの順に全部(1冊で最大200件)並べていた。名前の近くにある写真も、関係のない写真も、同じ扱いだった |
| ② 名前が出るページ | 「名前が本文に出てくるページ」は文字の情報で、そのページに写真があるとは限らない。『渋沢栄一自叙伝』では、名前が出る35か所のうち26か所は、近くに図版がなかった |
| ③ 本の題名 | 題名に「渋沢」と入っているだけの本には、別の人の肖像も載っている |
アプリを、こう直しました
2026年9月11日に直して、同じ日に設置しました。
| 直したところ | 前 | 後 |
| 図版の並べ方 | 本の全部をページ順 | 名前と同じページの人物写真を先頭に。次に名前の前後のページ、そのほかは後ろにまとめて閉じる |
| 名前が出るページ | 先頭の10件を文字で表示 | 番号の札にして、近くに図版がある番号だけ色を付ける |
| 本の最初の肖像 | 区別なし | 題名に名前がある本の、はじめ20コマの人物写真に「扉の肖像かも」と表示 |
| 確かめる画面 | 切り出しとページ全体が同じ大きさ | ページ全体を2倍の幅で表示し、「写真の下や横に名前が印刷されているかを見てください」と添える |
🔴 直したあとも、先頭の3枚のうち2枚は別人でした
直したアプリで、同じ2冊をもう一度調べました。
| 本 | 先頭に来た写真 | 説明書きを読んだ結果 |
| 『渋沢栄一自叙伝』(1938年) | 25コマ目 | 「佛國留學當時の澁澤榮一(二十八歳)」=本人 |
| 『浅野・渋沢・大川・古河コンツェルン読本』(1937年) | 88・89・90コマ目 | 90は本人。88と89は山下亀三郎=別の人 |
1枚目に選んでしまった53コマ目は、「そのほか」のまとまりへ下がりました。
⭐ 並べ方を直すと、候補は絞れます。けれど、本人かどうかは、説明書きを人が読むまで決まりません。
記事に載せた2枚
最終的に田島弥平旧宅の記事に載せたのは、この2枚です。どちらも、ページ全体の説明書きを読んで本人と確かめてから使いました。

若いころの渋沢栄一です。説明書きは「佛國留學當時の澁澤榮一(二十八歳)」です。
画像出典:小貫修一郎 筆記『渋沢栄一自叙伝』渋沢翁頌徳会、1938年(国立国会図書館デジタルコレクション)

晩年の渋沢栄一です。写真の下に「澁澤榮一」と名前が印刷されています。
画像出典:西野入愛一 著『浅野・渋沢・大川・古河コンツェルン読本』春秋社、1937年(国立国会図書館デジタルコレクション)
この話の限界
⚠ 調べたのは、渋沢栄一の2冊と、田島弥平の本だけです。ほかの人物や本で、同じように並ぶとは限りません。
⚠ アプリが探すのは、国立国会図書館の次世代デジタルライブラリーだけです。そこに無い写真は出てきません。田島弥平の肖像は、この範囲では見つかりませんでした。
⚠ 説明書きが無い写真は、本人かどうかを決められません。
機械は並べる、人が決める
道具を直すと、探す時間は短くなります。けれど、「この写真は本人か」を決めるのは、道具ではなく、説明書きを読む人です。
弊社は、AIや道具を実務に使うときも、最後に何を人が見るかを先に決めています(→ AIの画像生成は、指示を黙って破ります)。
この写真を使った記事はこちらです(→ 伊勢崎市には世界遺産があります――田島弥平旧宅で見た、一回り小さなお蚕さん)。
調べものや、確かめる手順づくりのご相談は、お問い合わせからどうぞ。お返事は3日以内を目安にしています。

