群馬県伊勢崎市に、世界遺産があることをご存じでしょうか。
境島村にある田島弥平旧宅です。「富岡製糸場と絹産業遺産群」の一つとして、2014年6月に世界遺産に登録されました。
伊勢崎で暮らしている私が、伊勢崎を訪れる方にまずお勧めしたいのが、ここです。2025年に見学に行きました。そのとき印象に残ったことと、行く前に知っておきたいことを書きます。
伊勢崎と私
私は小学1年生のとき、両親と一緒に佐波郡東村(いまの伊勢崎市)に越してきました。母の郷里です。
高校(県立伊勢崎東高校)を出るまでここで育ち、大学と就職で東京へ出て、29歳で戻ってきました。それから30年以上、伊勢崎で暮らしています。
東村は2005年1月1日に、旧伊勢崎市・赤堀町・境町と合併して、いまの伊勢崎市になりました。母校の伊勢崎東高校も、統合で2007年に閉校しています。
親戚も多く、私にとっては、とても住みやすいまちです。
田島弥平旧宅は、どんなところか
田島弥平(1822〜1898)は、蚕の卵(蚕種)をつくる家に生まれ、「清涼育」という蚕の育て方を大成した人です。蚕室の空気を入れ替え、自然に近い環境で蚕を育てる方法です。
弥平が考えた瓦ぶきの2階建てで、屋根に空気を抜く櫓(やぐら)がある蚕室は、そのあと全国の養蚕建物の手本になりました。いまの主屋は文久3年(1863年)に建てられたものです。
皇居の養蚕にも、イタリアにも
弥平は明治5年(1872年)と6年に、宮中の養蚕に奉仕するため皇居へ上がっています。明治12年(1879年)には、青山御所の御養蚕所の設計も手がけました。
同じ明治12年、弥平たちの島村勧業会社はイタリアへ蚕種を直接輸出しはじめ、弥平ら3人がイタリアへ渡りました(明治15年までに4回)。群馬県立世界遺産センターの紀要によると、一行はアメリカを通ってイギリスへ、さらにフランスを通って、ミラノへ向かっています。
庭には、貞明皇后の行啓記念碑があります。
⭐ 利根川沿いの村から、皇居へ、そしてヨーロッパへ。地元に、本当にこんなすごい方がいたのだと思いました。
🔴 見学して、いちばん印象に残ったこと
見学に行った日、皇居にお納めしたお蚕さんだと説明を受けた蚕を見せていただきました。
その蚕は、私が子どもの頃に祖母の家で飼っていたお蚕さんより、一回り小さかったのです。繭も、蚕そのものもです。
もともとの蚕は、このくらいの大きさだったのだろうと思います。明治からの産業のなかで、蚕は大きくなっていったのだと感じました。
案内の方が、丁寧に教えてくださいました
私は車で行ったのですが、その日は大型バスで見学の方々が来る30分ほど前だったそうです。そのせいか、案内の方が2〜3人いらして、そのうちの一人の方が、とても丁寧に話をしてくださいました。
渋沢栄一の生家「中の家」や記念館なども、きれいになったので見ていくといいと教えてくださったのも、その方です。
⭐ パンフレットや案内板だけでは分からない話が聞けます。ガイドは無料です(おおむね10人以上の団体は、事前の申し込みが要ります)。
🔴 見学の前に知っておきたいこと
- いまも人が住んでいる、個人のお宅です。見学できるのは桑場の1階と庭までで、建物の中には入れません
- 旧宅のとなりに駐車場はありません。車の方は、田島弥平旧宅案内所(旧境島小学校)か島村蚕のふるさと公園の駐車場へ
- まず案内所へ。展示と映像があり、入館もガイドも無料です
- まわりの養蚕農家も個人のお宅です。敷地には入らないでください
- 案内所では、周りを歩くための大人用自転車を無料で貸し出しています(申請書の記入と身分証明書が要ります)
⚠ 見学の時間や休館日、貸し出しの条件は変わることがあります。出かける前に伊勢崎市ホームページ「田島弥平旧宅の見学」でご確認ください。
足をのばして、渋沢栄一の生家へ
田島弥平旧宅は利根川の南側にあり、すぐ隣は埼玉県深谷市です。深谷市血洗島には、渋沢栄一の生家「中の家」と渋沢栄一記念館があります(深谷市ホームページ「旧渋沢邸「中の家」」「渋沢栄一記念館」)。
田島弥平旧宅からは、車で10分ほどです(私の感覚です)。
群馬県立世界遺産センターの紀要は、弥平たちのイタリア行きを見聞を広める旅でもあったとし、幕末には渋沢栄一も同じような目的でヨーロッパへ行っていると書いています。
渋沢栄一の写真は、自作のアプリで探しました

若いころの渋沢栄一です。本の説明書きは「佛國留學當時の澁澤榮一(二十八歳)」です。
画像出典:小貫修一郎 筆記『渋沢栄一自叙伝』渋沢翁頌徳会、1938年(国立国会図書館デジタルコレクション)

晩年の渋沢栄一です。写真の下に「澁澤榮一」と名前が印刷されています。
画像出典:西野入愛一 著『浅野・渋沢・大川・古河コンツェルン読本』春秋社、1937年(国立国会図書館デジタルコレクション)
この2枚は、私が自分で作ったWebアプリで探しました。国立国会図書館の資料から、著作権の保護期間が切れた写真だけを探す道具です。どちらも、写真の下に印刷された名前を確かめてから選んでいます。
利根川の河川敷で、のんびり
境島村は、利根川をはさんで北側と南側にあります。田島弥平旧宅があるのは南側です。
北側の河川敷は、緑がとてもきれいで、人も多くなく、のんびりできます。私がドローンの練習に行く場所でもあります。
⚠ ただし、河川敷にある伊勢崎市の公園(島村河津さくら公園)の中は、ドローンが原則禁止です。
ドローンを飛ばせるかどうかは、①航空法(国土交通省)②その場所の管理者 ③小型無人機等飛行禁止法(警察)の3つで決まり、1つでも欠けたら飛ばせません。そして2026年7月に3つ目の範囲が広がりました。詳しくは別に書いています(→ ドローン空撮の費用は、飛ぶ時間より先に「その場所が飛ばせるか」で決まります)。
この記事の限界
⚠ 見学は2025年で、写真は撮っていません。ドローンの映像もありません。
⚠ お蚕さんの大きさの話は、私が見て感じたことです。品種や、大きさが変わってきた理由は確かめていません。
⚠ 弥平のことは、伊勢崎市のパンフレット(令和2年2月・令和3年3月発行)と、群馬県立世界遺産センターの紀要によります。記念碑が建てられた年と、イタリアからの帰りの道のりは、確かめられていません。
⚠ 「車で10分ほど」は私の感覚です。見学の決まりは変わることがあるので、出かける前に公式の案内をご覧ください。
伊勢崎を訪れる方へ
伊勢崎に来られることがあれば、田島弥平旧宅に寄ってみてください。
富岡製糸場に比べると規模は小さいですが、幕末から明治の養蚕農家の姿が残っていて、いまも人が暮らしています。
弊社は、この伊勢崎市にある会社です(→ 企業概要)。

