「アクセス解析は入れてあります」――それでも、数字が足りていないことがあります

6本の棒グラフと、点線だけで描かれた4本の棒。数えられていない分があることを表した図
目次

先に結論

  • アクセス解析は、入れてあるかどうかではなく、測りたい場所に入っているかで決まります。
  • ここに挙げる3つの穴は、どれもエラーが出ません。数字も出ます。だから何年でも気づけません。
  • 確かめる方法は、どれも数分で終わります。難しいのは技術ではなく、疑うことのほうです。

2026年8月に点検した複数のサイトで、実際に見つかったものです。特別なサイトではありません。どれも、きちんと作られたサイトでした。

穴① サイトを速くする設定が、解析タグを後回しにしていた

WordPressのテーマには「スクリプトの遅延読み込み」という機能があります。ページの表示を速くするために、重たいプログラムを後回しにする機能です。5秒後、または訪問者が何か操作したときに読み込むという動きをします。

あるサイトで、その「後回しにするもの」の一覧を開いたら、キーワードが14個並んでいました。その中に、アクセス解析のタグが入っていました。

つまり、こういうことです。

ページを開いて、何も操作しないまま5秒以内に閉じた人は、1人も数えられていませんでした。

いちばん気になる人が、いちばん数えられていない状態です。開いてすぐ帰った人こそ「なぜ帰ったのか」を知りたい相手なのに、その人たちが記録に残っていませんでした。

なぜ気づけないのか

  • エラーは出ません。設定としては正しく動いています
  • 数字は出ます。0ではありません。5秒以上いた人は、ちゃんと数えられています
  • 速さは実際に改善しています。この設定を入れた人の判断は、その目的に対しては正しいのです

見つけ方

管理画面をいくら眺めても分かりませんでした。分かったのは、サイトが実際に送り出しているHTMLを見たときです。

普通なら「src=」と書かれているはずのところが、まったく別の名前の属性に置き換わっていました。これが「後回しにされている」印です。

設定画面ではなく、出力を見る。それだけでした。

直った経緯は、正直に書いておきます

この穴は、狙って直したものではありません。別の作業をした副産物として直りました。

遅延の対象は「キーワードに一致するもの」で決まります。一覧にあったのは解析タグを直接読み込むときのファイル名でした。タグマネージャー経由に切り替えたら、読み込むファイルの名前が変わり、キーワードに一致しなくなった――だから遅延されなくなった、というだけです。

運がよかっただけで、次も同じように直るとは限りません。ここは仕組みで直したことにしないでおきます。

引ける線

速さと計測は、しばしば同じものを取り合います。片方を良くする設定が、もう片方を黙って悪くすることがあります。

  • 速度改善の設定を入れたら、その日のうちに計測の側を測り直す
  • 「重いものを後回しに」の一覧に何が入っているかを読む。既定値のまま使わない
  • 速くなったことは自分の画面で分かります。測れなくなったことは、誰も教えてくれません

穴② 同じドメインなのに、タグの入っていないページが12ありました

別のサイトです。「このサイトはWordPressで作っています」と説明されていました。実際そのとおりでした。

ところが数えてみると、そのドメインには16ページありました。そのうち12ページに、解析タグが1つも入っていませんでした。

理由は、同じドメインの中に、中身が3種類あったことです。

  • トップ・特定商取引法・お問い合わせ … WordPress
  • 特典ページ・受け取りページ・販売用のページ … 素のHTML(あとから手で置いたもの)
  • サブドメインに置いたアプリ … 別物

WordPressの設定でタグを入れても、あとの2つには1文字も入りません。

「このサイトはWordPressで作っています」――その言い方が、ドメイン全体には当てはまっていなかった、ということです。

そして、その12ページの中に本の巻末に印刷したURLが含まれていました。いちばん反応を知りたいページでした。

ここには、繰り返し出てくる形があります。いちばん測りたいページほど、あとから手で作られている。販売用のページ、特典ページ、申し込みのあとのお礼ページ。全部そうです。だから漏れます。

穴③ タグは貼ってあったのに、最後の「確認」を押していなかった

穴①と同じサイトです。点検して分かったのは、こういう状態でした。

  • Search Consoleの認証タグは貼ってありました。でも「確認」ボタンが押されていませんでした
  • サイトマップは4本送信してありました。でもGoogleは一度も読めていませんでした
  • 解析の測定IDは入っていました。でも穴①のとおり後回しにされていました

サイトマップの画面は、こう出ていました。4本とも「取得できませんでした」。検出されたページ数は0。最終読み込み日時は空欄。送信されたのは2025年の2月から3月です。約1年半、Googleはこのサイトの地図を一度も読めていませんでした。

同じ形を、もうひとつ見ました。別のサイトで、タグマネージャーのコンテナを作り、タグを設定して、「公開」を押していました。ただし押した時点では、中身が空でした。そのあとタグを作り、公開し直していませんでした。

13日間、データが1件も入りませんでした。画面は、ずっと正常に見えていました。

なぜ、そこで止まるのか

これは怠慢の話ではありません。手応えの設計の問題だと考えています。

貼る作業には手応えがあります。コードを入れて、保存して、画面に反映される。やった感じが残ります。

押す作業には手応えがありません。ボタンを1つ押すと、画面が少し変わるだけです。何かを作った感じがしない。しかも押さなくても、その場では何も壊れません。

壊れないから気づかない。気づかないまま1年半が経ちます。

引ける線

「やった」の証拠を、作業した本人の記憶に置かないことです。

置き場所は2つしかありません。数字(検出されたページ数、送信件数、実際のユーザー数)か、機械(コマンドを1本打てば合否が出る形)です。

手順書に「確認する」と書いても、確認は起きません。数える形にして、はじめて起きます。

弊社のサイトでも、同じことが起きていました

他人事として書いているわけではありません。同じ月に、弊社自身のサイトでも見つかりました。

このサイトのサイトマップを開いたら、表示されませんでした。原因を探して、パーマリンクの再生成、キャッシュの削除、プラグインの一時停止と、順番に疑っていきました。全部はずれです。

本当の原因は、サイトマップを作るプラグインの設定画面にありました。「サイトマップに載せるもの」が、1つも選ばれていませんでした。投稿も、固定ページも、全部オフです。載せるものが無いのだから、作られようがありません。

設定を入れ直したら、その場で80件のURLが並びました。ついでに、検索エンジンに置き場所を伝えるファイルが実体のないファイルを指していたことも分かり、これも直りました。

画面のどこにも「壊れています」とは出ていませんでした。

3つに共通していたこと

  • エラーが出ない
  • 数字は出る(0ではない)
  • 管理画面を開くと「やってある」ように見える

だからこそ、こう言えます。

「数字が出ている」ことは、「全部数えている」ことの証明にはなりません。

そして3つとも、いちばん知りたい相手が、いちばん数えられていませんでした。すぐ帰った人。販売用のページに来た人。本を読んで来た人。検索から来るはずだった人。

自分のサイトで確かめる方法(それぞれ数分です)

専門の道具は要りません。パソコンのブラウザだけでできます。

① タグが入っているか

ページ上で右クリック →「ページのソースを表示」→ Ctrl+F(Macは Command+F)で「googletagmanager」を検索します。0件なら、そのページは測られていません。

トップページだけで確かめないでください。販売用のページ、申し込みページ、お礼のページ、それぞれで確かめます。穴②はここで見つかります。

同じ画面で「wp-content」も検索してみてください。0件なら、そのページはWordPressではありません。WordPress側の設定は、そのページには届いていない、ということです。

② 後回しにされていないか

同じソース表示の中で、解析タグの行を見ます。「src=」で始まっていれば普通の読み込みです。見慣れない別の名前の属性に置き換わっていたら、遅延読み込みの対象になっています。穴①はここで見つかります。

③ Googleに届いているか

Search Consoleの「サイトマップ」の画面を開き、「検出されたページ数」を見ます。0のままなら、読まれていません。ステータス欄の文字ではなく、この数字を見てください。

⚠ ただし、送信した直後は0です。反映されるまで時間がかかります(実測では約1時間で反映されました)。直後の0を見て、送信し直さないでください。

⚠ 確かめるときの注意

自分のパソコンで自分のサイトを何度開いても、解析の数字が増えないことがあります。ブラウザの拡張機能や広告ブロックが、自分の閲覧を解析の対象から外しているためです。

「増えないから壊れている」とは限りません。自分の画面での確認は、判定の材料としては弱いということです。確実なのは、実際に配信されているファイルの中身を直接見ることです。

最後に

3つとも、直すのにかかった時間はわずかでした。難しかったのは直すことではなく、「入れてあるはずだ」を一度疑うことでした。

失われたデータは戻りません。1年半ぶんの検索の記録も、13日ぶんのアクセスも、遡って取ることはできません。だから、早く確かめるほど得をします。

弊社では、こうした計測の据え付けと点検から手をつけます。何をどう進めるかはWebマーケティング・SEO支援のページに書きました。ご自身のサイトで上の3つを試してみて、気になる結果が出たときは、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

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