Webマーケティングの分析レポートの書き方――相談の一言を「調べられる問い」に分け直すところから

Webマーケティングの分析レポートの書き方を調べると、目的・方法・結果・考察といった構成のひな形がたくさん見つかります。構成は大事です。そのうえで、ひな形どおりに埋めるだけだと「で、うちは何をすればいいのか」が読み取れないレポートになることがあります。

弊社は、検索や広告、サイトの数字を調べてレポートにする仕事を、何度も繰り返してきました。この記事では、構成のひな形ではなく、レポートを書くときに何を大事にし、どう組み立てているかを書きます。最後に、架空の会社を例にしたレポートの見本を1枚載せます。

■ この記事の要点

  • 問いかけに答える:相談の一言を、調べれば答えが出る問いに分け直し、その問いに答える
  • 見えていなかったものを見ていただく:合計ではなく日別で、数字の先の実物まで開いて、相手がまだ見ていなかったものを見せる
  • 見やすく、分かりやすく、理解しやすく:最初に要点、次に目次。色で役割を分け、言葉と渡し方を読む人に合わせる
目次

弊社がレポートで一番大事にしている3つ

レポートは、相談をくださった方が「次に何を決めればいいか」を分かるためのものです。そのために弊社が一番大事にしているのは、次の3つです。

  • ① 問いかけに答える。調べたことを全部並べるのではなく、相談に対する答えを書く
  • ② 見えていなかったものを見ていただく。相手がすでに知っていることの確認ではなく、まだ見えていなかったことを見せる
  • ③ 見やすく、分かりやすく、理解しやすく。中身が正しくても、読まれなければ役に立たない

以下、この3つごとに、具体的にどう組み立てているかを書きます。

① 問いかけに答える

相談の一言を「調べられる問い」に分け直す

相談は、たいてい一言で届きます。「SEOを強くしたい」「検索からの注文が減った気がする」「広告が効いているのか分からない」。

この一言のままでは、何を調べればよいかが決まりません。そこで最初に、調べれば答えが出る問いに分け直します。たとえば「検索からの注文が減った気がする」なら、次の3つです。

  • 本当に減ったのか。いつから、どれくらいか
  • 減ったのは、どのページか
  • そのページに来ていた人は、何を探していたのか

問いを分けると、調べる順番も決まります。全体が横ばいでも、一部のページが減って別のページが増えていることはあるので、相談の目的によってはページ別の増減も見ます。レポートには「ご相談をこう受け取りました」という節を置き、分け直した問いをそのまま書きます。読む人は、自分の相談がどう受け取られたかを先に確かめられます。

相談の言葉で答える

「注文が減った」という相談には、クリックの数だけでなく注文の数で答えます。調べやすい数字に置き換えて答えると、問いかけからずれてしまうからです。

見立ては見立てと書き、違っていたら指摘をお願いする

調べた結果から「たぶんこれが原因だろう」と考えることは、事実ではなく見立てです。事実と見立てを書き分け、見立てには「現時点での見立てです。違っているところがあればご指摘ください」と添えます。業務の中身を一番よく知っているのは、読む側の会社です。見立てを言い切らずに出しておくと、「実はこういう事情がある」と返しやすくなり、次の打ち手が早く決まります。

調べても分からなかったことは「分かりませんでした」と書きます。推測で穴を埋めると、レポート全体が信用できなくなるからです。

決めていただくことは箱に、担当外は担当外と書く

決めていただきたいことが本文に混ざっていると、流れて見落とされます。決めていただくことは枠で囲った箱にまとめ、冒頭と、その話をしている章の2か所に置きます。

調べた範囲の外のこと(たとえば、サイトの改装の作業や、他社に任せている広告の設定)は、「担当外なので、ここでは手順を書きません」と書きます。担当外まで手順を書くと、誰がやるのかがあいまいになり、結局だれも動かないことがあるからです。

② 見えていなかったものを見ていただく

相談をくださる方は、たいてい何かが「おかしい」と感じています。でも、何がどうおかしいのかは見えていません。レポートの値打ちは、その見えていなかったものを、目で見える形にすることにあります。

合計で言わず、日別と「変えた日」で読む

「先月のクリックは前年より3割少ない」という合計の数字は、たいてい相手もうすうす知っています。日別に並べると、ある日を境に急に落ちているのか、少しずつ減っているのかが見えてきます。

急に落ちているなら、その日に何を変えたかを探します。サイトの改装、記事の題の書き換え、広告の設定の変更などです。変えた日の記録と日別の数字を並べると、原因の候補がぐっと絞れます。変えた日の記録が無い場合は、これから変える日を残していただくのが先になります。

数字の先にある「実物」を開いて確かめる

数字が教えてくれるのは、主に「どこで何が起きたか」です。弊社では、原因を確かめるために、数字の先にある実物も開いて見ます。

  • クリックが落ちたページを、実際に開いてみる(表示されるか、古い住所から転送されているか)
  • 検索の上位にいる他社のページを開いて、何が書かれているかを見る
  • 広告の着地ページを、スマホで開いてみる

開けば見えるものと、測らないと見えないものがあります。どちらか片方だけでは足りません。レポートには「開いて確かめたこと」と「数字で分かったこと」を分けて書きます。

道具ごとに見ること(実測と推定を分ける)

弊社がレポートを作るときに使っている道具と、それぞれで主に見ていることを一言ずつ書きます。

  • Google サーチコンソール(実測):どの検索の言葉で、どのページが何回表示され、何回クリックされ、平均で何位に表示されたか。表示は多いのにクリックが少ないページ、検索に登録されていないページも
  • Google アナリティクス(GA4)(主に実測):検索・広告・SNSなど、どこから来た人が、どのページで離れ、どこで注文や問い合わせに至ったか。注文などの成果の数は、設定によって推定で補われることがある
  • Google タグマネージャー:計測のタグが正しく動いているか。そもそも測れていなければ、ほかの数字が信用できないので最初に確かめる
  • Google 広告(主に実測。成果の数には推定が混ざることがある):実際に検索された言葉ごとの費用と成果。費用がかかっているのに成果のない言葉を、日別と変更の履歴と並べて見る
  • Meta 広告(Facebook・Instagram)(主に実測。成果の数には推定が混ざることがある):広告の画像や動画ごとに、表示・クリック・成果がどう動いたか。30日の合計ではなく日別と、設定を変えた日で見る
  • Microsoft Clarity(実測):ページのどこまでスクロールされ、どこで操作が止まったか(ヒートマップと録画)。読まれたかどうかは、ここからの見立てになる
  • ラッコキーワード(推定):その言葉が世の中で月に何回検索されているか(比べるときは期間と地域をそろえる)、検索の上位にいる他社のページが何を書いているか

実測と推定を混ぜると、推定の数字が事実のように読まれ、見えたつもりで見えていない状態になります。同じ道具でも、数字によって実測と推定が混ざることがあるので、道具の名前だけで決めず、使った数字と設定を確かめてから書きます。レポートには「数字の取り方」の欄を置き、道具の名前・使った数字・実測か推定か・取得した日を書きます。

③ 見やすく、分かりやすく、理解しやすく

最初に要点、次に目次

レポートの一番上には「お時間のない方はここだけで」の要約を置き、要点を3つほどにまとめます。その次に目次を置き、どこに何が書いてあるかを先に見せます。決めていただきたいことの箱は、目次のすぐ下です。忙しい方は、要約と箱だけ読めば判断ができる形にします。

色で役割を分ける

文字だけが続くと、どこが事実で、どこが見立てで、どこが決めていただくことなのかが分かりにくくなります。弊社のレポートでは、色に役割を持たせています。

  • 青:実測の数字(サーチコンソール・GA4 など)
  • 灰色:推定の数字(調査ツールなど)
  • オレンジ:見立てと、決めていただきたいこと

色はいつも同じ意味で使い、色の上に「実測」「推定」「見立て」といった言葉のラベルや、枠の形も添えます。色の見え方は人によって違い、白黒で印刷されることもあるので、色だけで区別しないようにしています。大事な並び(順番のあるもの)には、丸い番号も付けます。

言葉と渡し方を、読む人に合わせる

  • 長いレポートはメールに貼らず、Webページにして住所(URL)を送る。スマホでも読めるように、図は画面の幅に合わせて並ぶようにする
  • 出てくるURLは、全部押せばそのページが開くようにする。読む人が自分で確かめられるように
  • 略語や比喩を使わない。「SC」ではなく「サーチコンソール(Google検索のクリック数)」と書く
  • 費用や次のご依頼の話は、レポートの本文に混ぜない。混ぜると、条件の話に読まれて中身が読まれない

出す前に、数を検算する

表や章の数、数字の合計は、原稿と出来上がったページで一致しているかを数えて確かめます。レポートをWebページに組み直す途中で、表が崩れても何も警告が出ないことがあったからです。数字・固有名詞・出典は、もとの資料と1つずつ見比べてから出します。書いた本人とは別の目として、経緯を知らない状態の別のAIにも一度読ませています。

見本:「検索からの注文が減った気がする」へのレポート(架空)

①〜③を入れると、レポートの1枚目はこのような形になります。会社・数字・日付はすべて架空です。

架空の会社「みどり石けん工房」へのレポート見本(要約・目次・決めていただきたいこと・日別の図・開いて確かめたこと・担当外のこと)
画像を押すと原寸で開きます。

  • ① 問いかけに答える:相談の言葉どおり、検索から来た人の注文の数で「本当に減ったか・いつから」に答えています。「どのページか」は、注文では分けられなかったことをそのまま書いたうえで、クリックの数で答えています
  • ② 見えていなかったものを見ていただく:合計の「3割減」で終わらせず、日別で「9月5日を境に落ちた」ことを示し、落ちた2ページを実際に開いて「古い住所からの転送が無い」ことを確かめています。確かめた2語の検索回数が1年前とほぼ同じこと(推定・期間をそろえて比較)を添えたうえで、「その2語では探す人が減った様子は見られない」という見立てにしています
  • ③ 見やすく:一番上に要約、次に目次、その下に決めていただきたいことの箱(オレンジ)。数字には「実測」(青)「推定」(灰色)、考えには「見立て」(オレンジ)のラベルを付け、推定の数字と、そこからの判断を別の段落に分けています。改装の作業そのものは担当外として、手順を書いていません

まとめ

分析レポートの値打ちは、構成のきれいさより、「読んだ人が次に何を決めればよいか分かるか」で決まると弊社は考えています。問いかけに答えること、見えていなかったものを見ていただくこと、見やすく分かりやすくすること。この3つを大事にして組み立てると、レポートは「報告」ではなく「次の一手を決める材料」になります。

弊社は、検索・広告・サイトの数字を調べて、このようなレポートにするところからお引き受けしています(インターネットマーケティング)。「何から調べればいいか分からない」という段階でも構いません。お問い合わせからご相談ください。

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この記事を書いた人

クリュープラス株式会社 代表取締役。群馬県伊勢崎市を拠点に、ドローン空撮とWebマーケティングを行っています。一等無人航空機操縦士。2016年から沖縄の離島を中心にドローンを飛ばし、飛行は200時間以上、事故はありません。Kindleで『言葉が変われば、単価は変わる』と写真集『青と白と緑』を出版。YouTube「drone islands」で、空から撮った日本の景色を公開しています。

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