伊勢崎市の産業構造とAI導入の今――Claude Code が効きそうな仕事を仮説で考える

弊社は、群馬県伊勢崎市にある会社です。生成AIを仕事に入れるお手伝いをしていると、「伊勢崎のような地域の会社でも、AIは役に立つのか」と考えることがあります。

そこで、まず地元の産業を数字で見直しました。どんな産業に、どれだけの事業所と人がいるのか。そのうえで、伊勢崎と群馬で、AIの導入がどこまで公表されているかを調べました。最後に、弊社が使っている Claude Code(AIに仕事を任せる道具)を入れたら、どの業種のどんな仕事が良くなりそうかを、仮説として書きます。

■ この記事の要点

  • 伊勢崎市の民営事業所で働く人の、およそ3人に1人が製造業:民営の事業所は8,164、従業者は94,514人。製造業の従業者は29,883人で、全体の31.6%です(2021年6月1日時点)
  • 弊社が探した範囲では、伊勢崎市に本社を置く他社のAI導入事例は見つかりませんでした:一方で、伊勢崎市役所は生成AIを導入済みで、群馬県内には見積の時間を30〜70%短くしたと発表している会社があります
  • Claude Code が効きそうなのは、記録と照合の仕事:見積の下書き、検査や注文の記録の集計、書類の照合などです。どれも仮説で、現場で試すまでは分かりません
目次

伊勢崎市の産業を、数字で見る

ここからの数字は、伊勢崎市が2026年6月に刊行した「伊勢崎市統計書 令和7年版」から取りました。元になっているのは、国の経済センサス活動調査(2021年6月1日時点)です。統計書の表を一つずつ確かめ、合計が表の総数と合うことも確かめています。

事業所は8,164、働く人は94,514人

伊勢崎市の民営の事業所は8,164、そこで働く人(従業者)は94,514人です。働く人の多い産業から並べると、次のようになります。

産業 事業所数 従業者数 従業者の割合
製造業 1,193 29,883人 31.6%
卸売業、小売業 1,938 16,963人 17.9%
医療、福祉 700 11,532人 12.2%
サービス業(他に分類されないもの) 532 7,612人 8.1%
運輸業、郵便業 280 6,955人 7.4%
宿泊業、飲食サービス業 685 5,555人 5.9%
建設業 794 4,687人 5.0%

働く人のおよそ3人に1人が製造業です。事業所の数でいちばん多いのは卸売業・小売業(1,938)ですが、働く人の数では製造業がそのおよそ1.8倍です。

小さな事業所が半分以上、人は大きな事業所に集まる

事業所の規模で見ると、従業者が1〜4人の事業所が4,455で、全体の54.6%を占めます。一方、30人以上の事業所は630(7.7%)しかありませんが、そこで働く人は50,657人で、全体の53.6%です。

製造業だけで見ると、この偏りはもっと大きくなります。30人以上の226の事業所で、製造業で働く人の75.0%(22,410人)が働いています。

製造業の出荷額は約1兆円。県内12市で太田市に次ぐ規模

従業者4人以上の製造業に絞ると、伊勢崎市には611の事業所があり、27,880人が働いています。製造品の出荷額などは約1兆60億円(2020年の実績)で、群馬県全体の12.8%です。県内12市の中では、太田市(28.8%)に次いで2番目に大きい数字です。

業種ごとに見ると、次のような顔ぶれです(いずれも従業者4人以上。事業所と働く人は2021年6月1日時点、出荷額などは2020年の実績)。

  • 輸送用機械器具:89事業所・6,593人・出荷額など約1,807億円。働く人も出荷額もいちばん大きい
  • 食料品:51事業所・3,803人・約1,287億円
  • 化学:11事業所・2,472人・約1,308億円。事業所は少ないが、出荷額は2番目
  • 金属製品:113事業所・2,768人・約603億円。事業所の数がいちばん多い
  • プラスチック製品:59事業所・2,416人・約757億円

輸送機器を中心に、食料品・化学・金属・プラスチックと、性格の違う製造業が並んでいるのが伊勢崎の特徴です。

伊勢崎と群馬の、AI導入の実績

伊勢崎市に本社を置く他社の公開事例は、見つかりませんでした

地元紙、企業の発表、群馬県の事例集などを探しましたが、弊社が探した範囲では、伊勢崎市に本社を置く会社(弊社を除く)が AI・生成AI の導入を公表している例は見つかりませんでした(2026年10月15日時点)。

これで「伊勢崎の会社は AI を使っていない」とは言えません。導入の有無は、公表されていなければ分からないからです。言えるのは、今回確かめた範囲では、伊勢崎市に本社を置く他社の公開事例を見つけられなかった、ということです。

伊勢崎市役所は、生成AIを導入済み

総務省の「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」(令和7年度・2025年10月31日時点、2026年4月24日公表)では、伊勢崎市は生成AIを「導入済み」と答えています。使っているのは自治体向けの生成AIサービスで、市のマニュアルや議会の会議録を参照させて使っています。

回答に挙がっている使い道は、議会の想定問答の文案、住民からの質問への回答案、企画書案、あいさつ文案、議事録の要約、翻訳、庁内の情報の検索、メールの文案、マクロなどの作成です。どれも、文章と記録を扱う事務の仕事です。なお、この調査の伊勢崎市の回答には、削減できた時間などの効果の数字は書かれていません。

群馬県内の会社の例

  • 協和(みどり市・精密板金):AIを図面の管理、見積や文書の作成、検査などに使い、見積の作成は30〜70%短縮、文書の作成は2〜3倍の速さ、検査の見落としも減ったと発表しています。週1時間ほどの学習時間を制度にし、有料の生成AIの利用ルールも作っています(群馬県「リスキリングのすすめ かわら版」2025年第14号)
  • 長谷川有機(太田市・自動車部品):生成AIのサービスを使って、部品の色をカメラで見分けて取り付けミスを知らせる仕組みを、自社向けに開発しました(上毛新聞 2026年4月9日)
  • 群馬県庁:森林保全課が、膨大な法令や通知を生成AIに読み込ませ、専門的な問い合わせに素早く答える相談フォームを作っています(上毛新聞 2024年12月31日)

効果を数字で発表しているのは協和の例だけですが、市役所が挙げている使い道も、県内の会社の取り組みも、「見積」「文書」「検査」「法令の確認」のように、記録を読んで、書いて、照らし合わせる仕事に集まっています。

Claude Code を入れたら、どこが良くなるか(仮説)

ここから先は、弊社の仮説です。以下の使い道を、伊勢崎の他社の仕事で試した結果ではありません。弊社が自社の仕事や、架空のデータを使った試しで Claude Code を動かしてきた経験と、上の統計・事例をもとに考えました。実際に効くかどうかは、その会社の仕事で小さく試すまで分かりません。

Claude Code は、パソコンの中のファイルを読み、表を集計し、文書を作り、決められた手順をくり返す道具です。会話で答えるだけの AI と違い、表やファイルそのものを扱えるところに向き不向きが出ます。

製造業(輸送機器・金属製品・プラスチックなど)

  • 見積の下書き:過去の見積と、材料・工程の単価表を読ませて、新しい依頼の見積の下書きを作る。最後に金額を決めるのは人です。県内の協和の例と同じ方向です
  • 検査や不具合の記録の集計:日々の検査記録を月ごとにまとめ、どの品番・工程で何が多いかを表にする
  • 取引先ごとの品番の対応表の照合:同じ部品が取引先ごとに別の番号で呼ばれているとき、対応表のずれを見つける

3つ目は、弊社の試しで実際に引っかかった所です。架空の通販の会社のデータで、店ごとにばらばらな商品コードを集計させたとき、出題した弊社が「はっきり当てはまる」と思って作ったコードを、AI は推測で当てずに「要確認」で止めました。決まりに照らすと、その扱いのほうが正しかったのです。品番の対応は、人が「分かっているつもり」になりやすい所です。ただしこれは架空のデータでの1回の試しで、AI がいつも同じように止まるかは、その会社のデータで確かめる必要があります(Claude Code の企業導入)。

卸売業・小売業

  • 注文や売上の明細の集計:セット商品・定期便・キャンセルが混ざった明細を、決めた数え方で毎月同じように集計する
  • 商品データの整備:商品名・規格・価格の表の表記ゆれや抜けを洗い出す
  • 問い合わせの返信の下書き:回答集にあることだけで下書きを作り、回答集に無いことは人へ回す。その線を AI が守るかも、試すときに確かめる項目です

運輸業・建設業

  • 日報や点検の記録の集計:手書きを入力したもの、表計算の記録を月ごとにまとめ、抜けや食い違いを見つける
  • 書類の下書きと照合:前回の書類をもとに今回の下書きを作り、日付・数量・名前が前の書類や台帳と合っているかを照らす

医療・福祉

働く人が多い産業ですが、利用者の情報を多く扱うので、仮説も慎重に置きます。利用者の情報を含まない資料だけを扱うことを前提に、利用者の話が出ない会議の議事録の整理、研修資料の下書き、勤務表の集計といった事務の仕事から考えるのが現実的です。

どの業種にも共通する入口

伊勢崎市役所の使い道のうち、議事録の要約、メールの文案、マクロの作成などは、民間の会社の事務でも検討できる使い道です。実際に合うかどうかは、それぞれの会社の資料と手順で確かめます。最初の1つは、毎月くり返していて、正解を人が確かめられる仕事が向いています。

仮説を確かめるには

仮説は、小さく試して確かめるしかありません。弊社では、次の順で進めています。

  • 仕事を1つに絞る:毎月くり返していて、答え合わせができる仕事を選ぶ
  • 決まりを先に書く:何を数えるか、どこで止まるか、何を外に出さないかを、AI に渡す文書に書く
  • 前と後を数える:かかった時間と、間違いの数を、試す前と後で比べる

統計で見たとおり、伊勢崎には従業者4人以下の事業所が半分以上あります。人を増やしにくい小さな事業所ほど、記録と照合の仕事を AI に下ごしらえさせる意味は大きいと考えています。これも、確かめるべき仮説の一つです。

まとめ

伊勢崎市は、民営事業所で働く人のおよそ3人に1人が製造業の町です(2021年)。AI の導入は、市役所や県内の会社で少しずつ公表され始めていますが、弊社が探した範囲では、伊勢崎市に本社を置く他社の公開事例は見つかりませんでした。県内の取り組みや市役所の使い道を見ると、集まっているのは見積・文書・検査・法令の確認といった、記録を読んで、書いて、照らし合わせる仕事です。

弊社も伊勢崎の会社です。生成AIや Claude Code を自社の仕事で試したい、まずどの仕事から始めればいいか考えたい、という段階からご相談をお受けしています。お問い合わせからご連絡ください。お返事は3日以内を目安にしています。伊勢崎の数字についての記事は、群馬の12市でいちばん「若い」のは伊勢崎市ですもあわせてどうぞ。

出典(いずれも2026年10月15日確認)
・伊勢崎市「伊勢崎市統計書 令和7年版」18〜19ページ(経済センサス活動調査・2021年6月1日時点)・24〜27ページ(従業者4人以上の製造業・出荷額などは前年の実績)
・総務省「令和7年度 地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」(2025年10月31日時点・2026年4月24日公表)AI導入団体詳細調査結果
・群馬県「リスキリングのすすめ かわら版」2025年第14号(企業交流会 第2回 開催レポート)
・上毛新聞「自動車部品製造の長谷川有機(群馬・太田市)、生成AI使い画像を識別」2026年4月9日
・上毛新聞「膨大な法令…AIが素早く回答 群馬県が業務効率化で相談フォーム」2024年12月31日

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この記事を書いた人

クリュープラス株式会社 代表取締役。群馬県伊勢崎市を拠点に、ドローン空撮とWebマーケティングを行っています。一等無人航空機操縦士。2016年から沖縄の離島を中心にドローンを飛ばし、飛行は200時間以上、事故はありません。Kindleで『言葉が変われば、単価は変わる』と写真集『青と白と緑』を出版。YouTube「drone islands」で、空から撮った日本の景色を公開しています。

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