商品が変わると、調べたことは使えません――使い回せるのは手順のほうです

商品カルテの5つの段のうち、4段目「原文で確かめる」だけを強調した図

商品を1つ渡されたら、最初にするのは「商品カルテ」を1本作ることです。広告を書くのも、キーワードを選ぶのも、そのあとです。

🔴 そして、商品が変わると、調べたことは1つも使い回せません。競合が違い、お客様が使っておられる言葉が違い、勝てる土俵が違うからです。

使い回せるのは、手順のほうだけです。だから、手順を書きます。これまでに47本作りました。

「うちにはレビューが無い」という場合も、止まりません。順番が変わるだけです。そちらは後半にまとめて書きます。

目次

材料:カルテに何が入っているか

第1層 事実 商品そのもの/レビューの全数集計/会社の公表値との答え合わせ/競合の実測
第2層 読者 誰が、どういう状態で、何を探して来られるか
第3層 意味 この商品の芯は何か。事実を並べただけでは出てこないところ
第4層 使うもの 言えること(訴求)の候補と文案。🔴 使わないと決めたものも、理由つきで残す
第5層 次の一手 安く試せる順に並べる
限界 確認できなかったこと

第4層に「使わないもの」を残すのが、この形の要です。落ちた案とその理由が残っていないと、半年後に同じ案をもう一度検討して、同じ理由でまた落とすことになります。

手順(この順で動きます)

1. 原本を機械で数える。目で数えない

レビューの原本を1通ずつに切り分けて、「◯通・欠番なし・重複なし」を機械で確かめてから先へ進みます。ここがずれていると、あとの割合が全部ずれます。

2. 「何を数えるか」の紙を、読む前に作る

どんな軸で分類するかを、先に決めて紙にします。公式ページの使用方法・効能書き・よくある質問を先に読んで、そこに書かれていることは全部、軸に入れます。

3. 全部読む。抜き取りではなく

100通のうち20通を読んで傾向を見る、というやり方はしていません。全数です。少数しか書かれていないことの中に、いちばん強いものが混ざっているからです。

4. 🔴 出てきた数字を、原文で確かめる

この工程が、いちばん時間がかかります。そして、いちばん多く事故が出ます。

5. 会社が言っていることと、突き合わせる

お客様が言っておられることと、会社が売り文句にしていることは、よくずれています。ずれている場所が、そのまま打ち手になります。

実測:機械が出した数字は、13回間違っていました

カルテを47本作るあいだに、機械で数えた数字が、原文と違っていたことが13回あります。

機械の数字 原文で数え直した数 混ざっていたもの
9.6% 0.2% 他社の製品を使ったときの話。しかもそれは、この商品にとっては売りになる話でした
26.4% 4.0% 公式ページが案内している使い方の説明に、同じ言葉が入っていた
30.4% 0件 同じ語が、まったく別の意味で使われていた
2件 7件 表記のゆれ。3.5倍少なく出ていた
0件 9件 同上
24.8% 41.6% 1文字で数えたため、言い回しの違うものを取りこぼした

多く出ることも、少なく出ることもあります。方向が決まっていません。

これが大事なところです。いつも多めに出るなら、割り引けば済みます。そうではないので、補正のしようがありません。原文を開くしかありません。

なぜ起きるのか

  1. 商品名に入っている語で数えている。「天然」「100%」のような言葉は、商品名そのものに入っていることがあります
  2. 公式の使い方の説明に、その語が入っている。お客様が使い方をそのまま書き写すと、不満として数えられます
  3. 1文字で数えている。1文字は、意図しないものを拾い、意図したものを落とします
  4. 🔴 不満を数えるときは、必ず3つが混ざります。①否定の打ち消し(「〜もなく、使いやすい」)②使う前の悩み(買った理由)③使い方の言葉

4番目がいちばん厄介です。不満の言葉を含む文の多くは、実は不満ではありません。

もう1つの穴:紙に無いものは、拾えません

分類の紙に選択肢を置き忘れると、その項目は「0件」として出てきます。「無かった」のではなく「探していなかった」のに、見た目は同じです。

ある商品で、公式ページが案内している使い方を、紙に書き写し忘れました。あとで原文を開いたら、その使い方がいちばん多く書かれていました。実測51.2%です。

探すときに、区分を自分の言葉で作ると漏れます。だから、公式が言っていることは全部そのまま軸に置きます。自分で整理し直しません。

競合は、商品ごとに測り直します

競合の実測は、これまでに25本あります。市場ごとに別々です。同じ会社の商品でも、隣に並ぶ相手が違えば、勝てる土俵が変わるからです。

ある商品では、競合12品を実際に調べた結果、それまで強みだと思っていた点が、4つとも成立しないと分かりました。どれも競合が同じことを言っていたからです。この時点で、書く内容が変わります。

では、レビューが残っていない商材はどうするか

ここまでは、レビューが十分にある前提で書きました。実際には、自社のレビューをまとまった形で持っている会社のほうが少ないです。

その場合も止まりません。順番が変わるだけです。実際にやっているのは、次の3つです。

1. 競合のレビューを読む

自社に無くても、同じ市場の他社には残っています。そちらを全数読みます。

とくに★1と★2です。低い評価には、他社が埋められていない穴がそのまま書かれています。そこは、自社が言えることの候補になります。高い評価より使えます。

取り出す道具は、2026年8月に自分で作りました。レビューのページでボタンを1回押すと、本文がテキストで落ちるだけのものです。費用0・登録不要です。

🔴 なぜ自前で作ったか。公式の窓口はレビューの本文を返してくれず、無料で使える道具は、氏名・会社名・電話番号を登録させるものでした。材料を集めるために、こちらの情報を営業先の名簿に渡す形は取りません。必要だったのは「集める」部分だけだったので、その部分だけ作りました。

2. 探されている言葉を、検索の側から取る

レビューが無くても、お客様が何と入力しておられるかは残っています。すでにサイトがあればサーチコンソール、無ければ検索数の調査から取ります。

🔴 ここに落とし穴が1つあります。「流入がある」を、語の中身を開ける前に言わないことです。

ある事業者のサイトを見たとき、検索から月に367回来ていました。数字だけなら「流入はある」です。獲得している42語を1つずつ開けたら、全部が本業と関係のない言葉でした。この状態で「流入があるので、あとは受け皿を作れば」と進めると、丸ごと外します。

3. 言い方を変えて、両方測る

業界の側の言葉と、お客様が使う言葉は違います。同じ内容でも、言い換えると数が変わります。制度や業界の名前で測ると数が縮み、売り方の側の言葉に置き換えると伸びた例があります。

どちらが正しいかを先に決めず、両方測ってから決めます。

⚠ ただし、代わりになるとは書きません

自社のレビューには、「買った人が、使ったあとに、自分の言葉で書いた」という強さがあります。上の3つは、どれもそこには届きません。

競合のレビューは、他社の商品についての話です。検索の言葉は、買う前の言葉です。近いものを別の場所から集めている、というのが正確なところです。そのぶん、判断できることの範囲は狭くなります。

この手順の限界

13回というのは「見つけた数」であって「起きた数」ではありません。見つけていないものは、数えようがありません。実際にはもっとあると考えています。

47本は、1つの事業で積んだものです。他の分野でも同じ割合で機械が外すのかは、確かめていません。

上の代わりの3つは、まだ本数が少ないです。47本ぶん通したのはレビューがある側の手順で、代わりの側が同じ精度になるかは確かめていません。

弊社の考え方

「その分野の商品を扱った経験がありますか」と聞かれることがあります。正直に言えば、扱ったことのない分野のほうが多いです。

ただ、商品の知識は、その商品でしか使えません。13年やっていても、新しい商品を渡されたら、上の手順を1から通します。使い回せるのは手順だけで、これは分野が変わっても持っていけます。

もうひとつ。機械で数えた数字を、そのまま報告しません。数字は速く出ますが、47本のうち13回、原文と違っていました。速く出る数字ほど、原文で確かめる工程が要ります。

同じ考え方を、コンテンツを出すまでの工程についても書いています(→ 記事を1本出すまでに、17の段があります)。進め方はご一緒するかたちのページに、ご相談はインターネットマーケティングのページ、あるいはお問い合わせからどうぞ。

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