解析で見えていたのは、売上の4割でした――それが2割になる4年で、何を見ていたか

潮が引いた干潟。海水が遠くまで下がっても、桟橋だけが水平に立っている

アクセス解析で見えていたのは、その会社の売上の4割ほどでした。残りの6割は、解析に出ない経路の注文です。

ですので「解析の数字=事業の数字」ではありません。ここを取り違えると、判断ごとずれます。

そしてその4割が、4年で2割ほどになりました。解析の中の話ではなく、事業の中でウェブが占める比重が半分になったということです。

この4年で見ていたのは、売上の額ではありません。新規と継続の割合のほうです。

目次

材料:落ち方の3つの数字

担当期間の最初の12か月最後の12か月を比べた実測です。自分で設計して今も持っている月次の分析表(48か月ぶん)と、アクセス解析(52か月)を突き合わせました。

何が 増減
自然検索の流入(セッション) −78.5%
解析で測れるウェブ経由の売上 −52.0%
事業全体の売上 −11.5%

集客の地面が8割沈むあいだ、事業全体の売上の目減りは1割強でした。

「4割が2割になった」は、この2つから計算で出ます

ウェブ経由が 0.480倍(−52.0%)、事業全体が 0.885倍(−11.5%)になったので、ウェブが占める割合は 0.480 ÷ 0.885 = 約0.54倍になります。

4割 × 0.54 = 約2.2割。感覚で言っていた「2割ぐらい」と合います。

なぜ、額ではなく割合を見たのか

利益の出かたが、新規と継続でまったく違うからです。

新しいお客様に1回買っていただくには、広告なり記事なり、何かにお金と時間がかかります。継続して買ってくださる方には、そのぶんがかかりません。同じ1万円の売上でも、手元に残るものが違います。

ですので、集客が落ちていく局面で置いた目的は「売上の額を戻す」ではなく「継続の割合を厚くする」でした。売上体質ではなく、利益体質のほうへ寄せたということです。

継続を厚くするために、作ったもの

1. メールは、無いところから作りました

🔴 当初、メールマガジンもステップメールも、ほとんど発行していませんでした。「回し続けた」のではありません。立ち上げるところからです。

年間の配信数を16本から57本へ引き上げ、配信1本ごとに送信数・開封率・クリック率・購入数・売上・商品別の売上構成まで記録する表を自分で設計して、2年以上、同じ表を更新し続けました。

配信システムとアクセス解析を1対1で対応させる計測の仕組みも設計しています。5年後のいまも、同じ形で追えます。

2. ステップメールの中身が、そのまま継続でした

ステップメール経由の購入構成は、消耗品が8割、関連商品への広がりが2割。この構成は5年間変わっていません。

消耗品は、無くなればまた必要になります。ここが厚くなるということは、次も買っていただける関係が厚くなるということです。

3. 既存のお客様との線を、切らさなかった

解析で見えている範囲では、売上構成のいちばん大きい経路は直接アクセス(27.8%)でした。前に買ってくださった方が、また来てくださる流入です。

新規が減っている局面でここが崩れると、一気に落ちます。減った分を新規で取り戻す前に、いま居てくださる方との線を保つほうを先にしました。

4. 入口を、検索だけにしなかった

送客メディア群からの流入が18.8%。検索エンジン以外の入口です。入口が1つしかないと、その1つが変わったときに全部が止まります。

この27.8%や18.8%は、解析で見えている「4割の側」の中での構成比です。事業全体に対する比率ではありません。

🔴 では、これは正解だったのか

ここを書かないと、ただの自慢話になります。

答えは「何を目的に置いたかによる」です。

目的が この4年の評価は
売上の額を伸ばす 別の打ち手を選ぶことになったはずです
売上の額を保つ 保てました(−11.5%)
利益の出る形に寄せる 狙いどおりです(ウェブ比重 4割 → 2割・継続が厚くなった)

同じ数字が、置く目的によって「よく守った」にも「攻め損ねた」にもなります。

成果は、数字だけでは判定できません。何を目的に置いたかとセットでなければ、判定のしようがないのです。ここを決めずに数字だけ並べると、あとから都合のいい物語を付けられます。

この数字の限界

「4割」「2割」は、おおよその割合です。期間の切り方で動きます。落ち方の3つ(−78.5% / −52.0% / −11.5%)のほうは実測です。

要因の内訳までは、計測では分解できません。「メールが何%を支え、既存のお客様が何%を支えたか」は出せません。売上は1つの流れとして立っているので、後から切り分けられないからです。事実として並べているだけで、因果を主張してはいません。

解析に出ない6割の中身は、こちらでは細かく追えていません。「出ない」ことは分かっていましたが、その中で何が起きていたかまでは、確かめていません。

これは1つの事業での話です。同じ判断が他の商材でも同じように働くかは、確かめていません。

弊社の考え方

まず、アクセス解析が事業の何割を映しているのかを確かめます。

ここが4割なのか9割なのかで、同じ数字の意味が変わります。電話・実店舗・卸・定期の同梱——解析に出ない経路がある事業では、解析だけを見て打ち手を決めると、見えている側だけを最適化することになります。

そのうえで、流入が落ちたときに最初に決めるのは、打ち手ではなく目的です。「額を戻す」のか「利益の出る形に寄せる」のか。ここを決めずに打ち手から入ると、広告を足すか記事を増やすかという話にしかならず、数か月後に効いたかどうかを判定できません。判定する物差しを決めていないからです。

目的が決まれば、見る数字も決まります。今回であれば「新規と継続の割合」でした。売上の額を毎月見ていても、この入れ替わりには気づけません。

関連する話も書いています(→ 記事を1本出すまでに、17の段があります商品が変わると、調べたことは使えません)。進め方はご一緒するかたちのページに、ご相談はインターネットマーケティングのページ、あるいはお問い合わせからどうぞ。

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