引き継ぎ資料は、辞めるときに作るものではないと考えています。
担当していた仕事では、4年7か月のあいだに、手順の解説動画を22本作って配りました。合計3時間46分です。
⭐ 2.5か月に1本のペースです。まとめて作ったのではなく、そのつど1本ずつ残しました。最初の1本は2021年11月で、辞める話とはまったく関係のない時期です。
材料:22本の中身
| 何を渡したか | 本数 |
| AIの使い方(専用ツールの作り方・使い方) | 7本 |
| 制作の型(レポート・リライト・LP・サムネイル・タイトル) | 7本 |
| 計測と広告の設定 | 3本 |
| 段取りと引き継ぎ | 5本 |
| 合計 | 22本 / 3時間46分 |
1本の長さは最短2分5秒、最長20分4秒、平均は約10分。渡した相手は社内と外注をあわせて10名以上です。
研修プログラムではありません。その場で聞かれたことに、その場で答えた記録です。
なぜ「そのつど」なのか
1. まとめて作る時期は、いちばん忙しい
引き継ぎ資料をまとめて作るのは、たいてい担当が変わる直前です。その時期は、引き継ぐ側も引き継がれる側も、いちばん余裕がありません。
結果、間に合わせの資料になります。作る側は「一応渡した」、受け取る側は「これでは分からない」。どちらも悪くないのに、そうなります。
2. 🔴 何が伝わらないかは、聞かれるまで分かりません
これがいちばん大きい理由です。
自分にとって当たり前になっている手順ほど、説明から抜けます。抜けていることに、自分では気づけません。気づけるのは、誰かが実際につまずいて、質問してきたときです。
⭐ だから、聞かれた瞬間に録ります。質問が、そのまま目次になります。
机の上で「何を書いておくべきか」を考えて作った資料は、たいてい自分が説明したいことが並びます。聞かれてから作れば、相手が知りたいことが並びます。
3. 1本10分なら、その場で作れます
まとまった引き継ぎ書を作ろうとすると、時間を確保する話になり、後回しになります。10分の動画なら、答えるついでに録れます。
そして1回答えたことは、次の人にもそのまま渡せます。22本は、10名以上に配られました。
なぜ文章ではなく、動画なのか
- 画面を操作しながら説明できます。「この画面のここを押して」を文章で書くと長くなり、しかも画面が変わると使えなくなります
- 受け取る側が、止めて、戻して、何度でも見られます。その場で全部覚える必要がありません
- 作る側の負担が軽いです。10分話せば10分の資料になります
⚠ ただし、動画には弱点があります。中身を検索できません。
だから題名を、相手が言った言葉のまま付けます。「〇〇の手順」ではなく「〇〇をどうやるか」。あとから探すときに思い出すのは、自分が困ったときの言い方だからです。
手順だけでなく、道具ごと渡します
手順を渡しても、その手順が難しければ、結局その人にしかできません。
ですので、必要なときはその作業のための専用のAIツールを自分で作って、動画と一緒に渡しました。担当が変わるときも、手順の解説動画と専用ツールの両方を作って引き継いでいます。
AIを実務に組み込んだときに書いたプロンプトと、その成果物は、求めに応じてすべて引き渡しています。手元に残していません。
⭐ 渡せないものを持っていると、その人が抜けた瞬間に、そこで止まります。止まる場所を作らないのが、引き継ぎの目的だと考えています。
この話の限界
⚠ 22本は「残っているもの」であって、「教えた回数」ではありません。録らずに口頭で答えたことのほうが、はるかに多いです。その分は数えようがありません。
⚠ 🔴 そして、渡したことと、伝わったことは別です。
動画が実際に見られたか、見た方ができるようになったかまでは、追えていません。再生の回数は残っていますが、それは「見た」であって「できるようになった」ではありません。ここは確かめていません。
⚠ これは1つの現場での話です。同じやり方が、規模の違う組織で同じように働くかは分かりません。
弊社の考え方
抜けることを前提に、お引き受けしています。
入って、回して、そのまま居続けるという形は取りません。半年から1年で、御社の中に仕組みを残して抜けるほうが、依頼する側にとって安全だからです。
そのためには、抜ける日に資料を作るのでは間に合いません。最初の1本目から、渡せる形で残していきます。結果として抜けなかったとしても、渡せる形で残っていて困ることは何もありません。
工程そのものについては別に書いています(→ 記事を1本出すまでに、17の段があります)。関わり方はご一緒するかたちのページに、ご相談はインターネットマーケティングのページ、あるいはお問い合わせからどうぞ。

