アンケートに「腸のこと」と書いてあっても、腸の話ではないことがあります

机の上に積まれた手書きのアンケート用紙の束から、1枚だけが引き出されて光を受けている

アンケートの自由記述に「腸のことで」と書いてあっても、そこに書いてあるのは、腸の話ではないことがあります。

読んでみると、書かれているのはお通じのことだったり、いきんだときのつらさだったりします。ご本人は「腸のこと」と一言でまとめて書いておられるだけです。

🔴 このずれは、集計しても出てきません。要約させても出てきません。「腸」という語で数えれば、それは「腸の話」として1件に数えられます。

担当していた事業で、レビューとアンケートを累計1万通以上、全部に目を通しました。そこで何を拾っていたのかを書きます。

目次

拾っていたのは「ずれ」です

表に書いてある言葉と、中で実際に起きていることは、ずれています。

書く側は、悪気なくまとめます。細かく書くのは面倒ですし、そもそも自分の状態を正確な言葉にするのは難しいことです。だから、いちばん近そうな言葉が1つ選ばれます。

その「いちばん近そうな言葉」と、本当に困っていることの間に、いつも少し隙間があります。

そして、お客様が探すときに使うのは、まとめた言葉のほうではありません。困っていることのほうの言葉です。

なぜ、集計では出てこないのか

  • 集計は、書いてある言葉を数えます。「腸」と書いてあれば「腸」です。中身は見ません
  • 要約は、細かいところを落とします。要約の役目は短くすることなので、正しく動いた結果として、ずれが消えます
  • 抜き取りでは足りません。ずれは全部に同じ形で現れるわけではなく、少数の中に混ざっています

🔴 ですので、全数を目で読むしかありませんでした。ここは、いまでも短くできていません。

拾ったずれを、8段先まで運びます

ずれを見つけて「なるほど」で終わらせません。実際にやっていたのは、次の順です。

やること 何が出るか
1 レビューとアンケートを全数、目で読む 表に書いてある言葉
2 🔴 ずれを拾う 中で実際に起きていること
3 ずれた先に何があるかを見る お客様の困りごとと、その糸口
4 読んだ方が次に何をするかを見る 行動
5 そこから言葉を選ぶ 探すときに使われる言葉
6 メールの流れに落とす どの不安を先に整えるか
7 出荷の集計表と突き合わせる どの切り口で伝えるか
8 作る側へ戻す 商品そのものへの手がかり

ここがいちばん言いたいところです。1万通は、誰でも読めます。時間さえかければ読めます。

差がつくのは、読んだあとに何段先まで運ぶかです。2段目で止めれば「お客様の生の声を集めました」で終わります。同じ発見が、8段目では商品そのものの話になります。

6段目について

メールの流れを作るとき、決めているのは「何を伝えるか」より先に「どの不安を、どの順で整えるか」です。

読んだ方が前に進めないのは、たいてい情報が足りないからではありません。気になっていることが1つ残っているからです。それがどれなのかは、1万通の中に書かれていました。

「AIに読ませればいいのでは」への答え

いちばん多くいただく質問です。そして、半分はそのとおりです。

分類も、集計も、語の出現を数えるのも、AIのほうが速くて正確です。弊社も使っています。

🔴 ただ、この工程の2段目だけは、いまのところ置き換えられていません。

AIに読ませると、要約が返ってきます。そして要約は、正しく動くほどずれを消します。「腸のことで悩んでいる」とまとめるのが、要約としては正解だからです。

指示の仕方で、ある程度は防げます。「まとめずに、原文のまま引いてください」と頼めば、原文が返ってきます。ただし、どれを引くかを選ぶ時点で、すでに選別が入っています。

ですので、いまは「AIに全部読ませて、人が全部見る」という形にしています。減らしているのは読む時間ではなく、数える・分類する・突き合わせるほうの時間です。

この話の限界

ここに書いた「腸のこと」の例は、お客様がアンケートにそう書いておられた、という事実の紹介です。商品が何かをする、という話ではありません。効能の話は一切していません。

1万通は、1つの事業で積み上げた数です。商材が変われば、書かれる言葉も、ずれ方も変わります。同じ拾い方が他の分野でも効くかは、確かめていません。

「ずれを拾ったから売れた」とは書けません。売上は多くのことが同時に効いて動くので、後から切り分けられません。ここで書いているのは、やっていた工程であって、その効果の証明ではありません。

そして、読んだ数を数えてはいますが、拾えなかったずれの数は数えようがありません。見つけたものしか、数には出ません。

弊社の考え方

お客様の言葉を「集める」ことと、「読む」ことは違います。

集めるだけなら、いまはいくらでも速くできます。集めた結果を要約させれば、きれいな一覧も出てきます。ただ、そこに出てくるのはお客様が選んだ「いちばん近そうな言葉」の一覧です。

知りたいのは、その手前にあることのほうです。

商品を渡されたときに最初に何をするかは、別に書いています(→ 商品が変わると、調べたことは使えません)。表現の線の引き方も書いています(→ 薬機法のチェックを5巡しました)。

ご相談はインターネットマーケティングのページ、あるいはお問い合わせからどうぞ。

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